「音葉、好きだ」 俺は彼女の肩を掴んだ。 そして、 まっすぐに 彼女の目をみつめた。 今、 この瞬間の彼女を、 一つも見落とさないように。 「…私もだよ」 そして僕は、 彼女の唇に そっとキスをした――。 「ごめんね、愛輝。 …愛してたよ」 その時、 俺は 目を開けていられないほどの 突風に襲われた。 目を開けると そこに彼女の姿はなく、 ひとひらの羽だけが ふわりと頬をかすめる。 さようなら―――。 end.