「あっづーい…」


今は7月。
じめじめと蒸し暑い梅雨も
ようやく終わり、
いよいよ夏本番といったところだ。


「絢乃〜
 飲み物買って来て…」

「あ、あたしも!」


「…はいはい。」


二人は植田香織(うえだかおり)と
真鍋葵(まなべあおい)だ。

中学に入って出来た友達で
あたしはいつも
この2人と一緒にいる。


「しかしほんっとに暑いな…」


あたしは2人にパシられて
飲み物を買いに購買へ向かった。


「香織はミルクティーで
 葵はカフェオレっと」

二人の好きな飲み物を手に取り、
自分の分を選び始めた。


「んんー
 今日はパンだから…」


「あ、神田!!」


ん?あたし呼ばれたよね?


「…何か?」

「あー悪いんだけどこのプリントを
 教室に持ってってくんねーかな」


あたしに雑用を押し付けたのは
あたしのクラスである2−Aの担任
辻歩(つじあゆむ)先生だ。


「あーはいはい。」

「なんだよ、気のねー返事だな。
 お前らはまだ若いんだから
 もっとシャキっとしろよ!」


先生だって10歳も歳変わらないくせに…


と心の中で文句を言いながら
ミルクティーとカフェオレと
抹茶ラテを買って教室に戻った。