「れな、ですか?」
「いいえ、那緒さんです。那緒さんが、理緒も呼んでくださいと…」
「はあ…」
那緒ってだれ。
そう思いながらも、歩き出した看護師さんに着いて歩く。
「こちらになります」
案内された、病室に入る。
そこには、酸素マスクをしたお母さんと若い女の人。
ドアを開けたことに気づき、若い女の人がこっちにくる。
「あなたが理緒ちゃん?」
「はい。あなたは…」
だれ?
頭に浮かぶのは、その2文字とハテナのみ。
「横田那緒。ばっちり血の繋がる姉です。」
え…なんて言った?姉……?
「まぁ、驚くよね。
お父さんとお母さん、おばあちゃん家に連れて行ってくれなかったんじゃない?」
言われてみれば、たしかに。
何度、「行きたい」って言っても、「また今度」しか言われなかった。
「あたしがいるからだよ」
ん……?
この人がおばあちゃんの家にいるから、遊びに行けなかったってこと?
「あたしは、おばあちゃん家で引き取られたの。 詳しいことは、後日。ね?」
………姉?
それに、おばあちゃんの家で引き取られたってなんで?

