ちょっとしたお金持ちたちが集まってくるような住宅地に一つの一軒家がある。

そこの家は周りの家よりも少し小さいが、庭には花が枯れる事なく白を基調とした家が映えるかのように咲いていた。


「お母さん、お兄ちゃん、行ってきます!」


その家から出てきた少女は篠原 留依(シノハラ ルイ)、可愛らしい家に負けず劣らず彼女もまた可愛らしい容姿をしていた。


「留依、おはよう」

「なーちゃん!おはよう!!」


玄関の前には幼馴染の鶴城 渚(ツルギ ナギサ)が立っており、留依の学校まで送り迎えは当たり前の日常になっていた。


「鞄重たいだろう?僕が持つよ」

「有難う、なーちゃんは優しいね!でも大丈夫だよ?今日は大切なものが入ってるか自分で持つよ!」


鞄を両手で大事そうにギュッと持つ留依は頭一個分程の差がある渚を見上げフワリと嬉しそうに笑った。

日の光を浴びると金色に輝く髪を持つ渚は、そんな彼女の仕草に眩しそうに目を細める。


「そうか…。でも…その大切なものを僕にも守らせてくれないか?僕にもその嬉しそうな留依の気持ちを分けて欲しい…」


少し癖っ毛があり胸元まである留依の髪を撫でながら悲しそうに囁いた。