愛しのケダモノ王子


「わ、分かったから!もういいから!」


たまらず私はそう言った。

恥ずかしくて、顔があげられなかった。


「もう分かったから…これ以上はやめてよ…」


そう言うと、羽山がまた抱きしめてくる。



「…だからそれ反則。

我慢出来なくなるじゃん…」


「え…?」


「あの夜だって本当は必死だったんだからな?

あきら、酔っ払って自分で服脱ぎ出すし、こっちは目の前で好きな子と2人きりだってのに理性と戦うのに必死でさ。

ガマン出来なくて抱きしめていっぱいキスしちゃったけど、さすがにヤルのはマズイよなって…マジ生殺し状態だったよ」


「へ、へぇ…」


抱きしめられたあの感覚は、やはり夢ではなかったのだ。

だけど眠る私のその横で必死に耐える羽山の姿を想像したら、少し気の毒に思った。


「…でもさ、何の抵抗もなく俺のベッドでスヤスヤ眠るあきら見てたらさ、何かもうそれだけで、俺すごい幸せで…

俺、嫌われたと思ったからさ…だからずっとあきらに謝りたくて…

ごめんな、高校の時突然あんなことしてさ」


「……うん」