愛しのケダモノ王子


他の女の子みたいに、可愛く振る舞うことが出来たらどんなに楽だっただろう。


せめて好きな人の前でくらい、素直になれる性格になりたかった。


だけどそもそも、羽山のことが好きだと認めることすら出来ない性格だったのだ。


つくづくめんどくさいのだ、私は。


だからあえて、自分が女であることを意識することをやめた。

その方がいろいろ楽だった。


だけど、本当は心の底では苦しかった。



それでも羽山を失うのが嫌で、高校生の頃の私はずっとひた隠しにしてきたんだ。



羽山がそっと身体を離すと、私の顔を覗き込んだ。


「……な、なに?」


「…可愛いよ。

あきらは可愛い…すげー可愛い」


「はっ…?!何言って…」


自分でも、ボッと顔が赤くなるのが分かった。

真面目な顔してそんなこと言うなんて、ずるい!反則だ!!


「あきらが何と言おうと、俺からしたらあきらはすげー可愛いの。

だれよりも可愛い。

世界中で1番可愛い」