愛しのケダモノ王子



羽山が私を好き?

そんな、まさか、信じられない。

頭がついていかないよ。

てゆーか今のキスで、思考回路が回らない……


「お願い羽山…これ以上はやめて…

おかしくなっちゃうよ……」


私がそう言うと、羽山は体勢を立て直し、私の身体を起き上がらせる。


そしてまたぎゅっと抱きしめた。



「…お願いだからあきら…

俺のこと、男として見てくれないかな…

今すぐじゃなくて良いから、友達じゃなくて男として、“彼氏”として考えてくれないかな」


そう言った羽山の声は、どこか余裕がなくて懇願するようだった。


その声に胸が締め付けられる。


「…は、羽山は私のどこが良いわけ?

可愛くないし、女らしくもないし、

今だってスッピンで髪の毛ボサボサで、

それでもおでん欲しさに構わず玄関開けるような女だよ…?」


自分で言うのも何だが、私が女らしくないことも男ウケが悪いことも、


見た目も性格も可愛くないことは重々承知している。