愛しのケダモノ王子


亜由子からだと思いメールを開くと、それは羽山からのものだった。




件名:なし

本文:今、あきらのマンションの前にいるんだけど。

あきら起きてる?




あまりにも驚きすぎて、携帯を落としそうになった。



ピーンポーン…



同時にチャイムがなり、私はもっとびっくりする。


そっとドアのレンズを覗くと、そこには羽山の姿があった。


なっ、なんであいつがここに居るんだ!




「あきらー?居るんだろ?」


羽山はかまわずドアをノックする。


「体調大丈夫か?
一応食うもん買って来たんだけど」


その言葉に私は反応した。

カギを外すと、ゆっくりとドアを開ける。


「ごめん、寝てた?」


「……何であんたが居るの」


「いや、亜由子ちゃんから連絡もらって心配になってさ。マンション教えてもらったんだ」


「亜由子から?てゆーか私のアドレスだけじゃなく亜由子の連絡先も知ってるの?」


「飲み会の時みんなで交換しただろ?
あきらは覚えてないかもしれないけど…

それより体調大丈夫なの?
風邪なのかわかんなくて、一応おでんとか買ってきたんだけど食う?」


「…食う…」