愛しのケダモノ王子



……私と羽山はヤってない。


じゃあさっきの記憶は?

単なる夢?それとも……






羽山の奢りで私たちはファミレスを後にした。

最寄り駅が同じだから、必然的に帰る方向も同じだ。


「あきらはさー、大学どう?女子ばっかで楽しいの?」


「え?そりゃ楽しいに決まってんでしょ。
私もともと男とかそんな興味ないから」



「そーいやあきらってそうだったよな!
高校の時もそんなこと言ってた!

じゃあ何で昨日は飲み会来たの?そういう気になったんじゃないの?」


「あ〜…昨日は亜由子に無理矢理連れて来られて…別に出会いが欲しいとかじゃないし」


夜道を羽山と2人肩を並べて歩く。

この距離感が、なんだかムズムズした。


羽山、また背が伸びた?

こんな見上げて見てたっけ……


「じゃあ今付き合ってるやつとか居ないんだ」

羽山が急に私の方を見て、心臓が飛び跳ねる。

私は慌てて目をそらした。


「い、いないよそんなの」