愛しのケダモノ王子



「あきら、そーゆーとこ変わってないよな。

昨日会った時は、すげー綺麗になってたからびっくりしたけど」


「……はっ?!」


私は飲んでた水を吹き出した。



「俺はハンバーグにしよっかなー♪

あきら、決まった?呼んで良い?」


「あっ、う、うん」



今、サラッとなんて言った?

ますます“天然女たらし”に磨きがかかったのか、コイツ……


羽山を不信な目で見ていると、ふと視線がぶつかった。

目が合うと、あのふにゃっとした笑顔を向ける。


「そいやあきら、今朝俺んちから迷わず帰れた?」

「え?!あぁ、うん…てかまさかうちとあんな近いとは思わなかったから」


羽山が一人暮らしをしてるアパートは、私が借りてるマンションと同じ最寄りだった。


まさか、お互い同じ町内に住んでいるとは…

確かに私が住んでいる駅は、羽山が通うK大にも通学圏内だ。

よく今まで、駅とかで鉢合わせなかったものだ。




「昨日あきらがベロベロに酔っ払ってさ、

聞いたら俺と同じ最寄駅じゃん?

だから俺が連れて帰るって言い出したんだ」