愛しのケダモノ王子




“あきら……可愛い”





その時、突然頭の中で羽山の声が蘇る。


暖かいぬくもり…

肌をなぞる吐息….


優しく触れる指の感触……




(な、なんか今…ちょっと思い出したかも)




これは昨日の記憶なのか。




私は本当に、この羽山と……



「じゃあさ、ちょっと俺に付き合ってよ」

「え、あ、ちょっと?!」



羽山は私の手を引いて、ずんずん進んで行った。




ーーーーーーー……




「さぁ、何でも好きなの頼みたまえ。

遠慮はすんなー!俺の奢りだ!」


「…ファミレスでそんな台詞言われても」


「文句言うなら食べなくても良いよ?」


「いや、食べないとは言ってないけど」


連れて来られたファミレスのテーブル席で向かい合い、私はメニューを広げた。


「じゃあサーロインステーキのAセットライス大盛りで。あとドリンクバー」


「遠慮ねぇな!てか二日酔いじゃねーのかよ」


「冗談よ」


私がそう吐き捨てると、羽山はぷっと吹き出した。