「凛くん、それでね」
結局、龍一は千春と帰るって来なかった
さっきから
無理して笑ってる遥香ちゃん
「凛くん?」
「ん?凛くんは好きな人とかいないの?」
遥香ちゃんなんだ
言いたいけど
そんな勇気
僕にはない
「いるよ、でもね多分その子に僕の想いは届かないから」
「どうして?そんな事言えるの?」
「その子には好きな人がいるんだ」
「だから、多分、届かないよ」
「そっか・・私と同じだね」
“同じだね”この言葉がまた心を思考回路に追い込む
なんで、そんな事言うの?
そんな事言ったら
僕の胸が締め付けられて苦しくなるの
君には分からないんだね?
「きっと、同じ」
そう呟いたけど
心はいつまでも晴れないまま
青色の傘をさしたままの
僕がいる


