「無理だよ、私には・・・。」



音楽室でピアノを弾きながら呟く



私は困った事があると


この旧校舎の音楽室に来る



ピアノコンクールの練習も出来るし




考え事も出来る



ほとんど人なんか来ない



「はぁ・・・。」



溜め息は何を考えていても止まらない




((コンコン



「はい?誰?」



「遥香?私だけど」



「どうぞ、入って」



優ちゃんを音楽室に入れる



入ってくるとすぐに質問してくる


「大丈夫?遥香、千春ちゃんよく来るよね」



確かに、二人が付き合ってから3週間



1度も教室に千春ちゃんが


遊びに来なかった日はない




そのたびに、胸が痛くなって逃げた




「そうだね、よく来るね」



龍ちゃん多分千春ちゃんの笑顔好きなんだろうな




いつも笑顔みて顔赤くして



だから、少し無理して笑うようにしてるんだ



少しでも私の事好きになってほしいから



少しでも自分に自信がほしいから



でも、優ちゃんや凛くんは



無理して笑うなって言うの




「遥香もう無理して笑わないでよ」



涙声になりながら言う優ちゃん



「無理なんかして・・ないよ?」


「嘘!泣きそうなくせに、やめてよもう見てらんない」



「無理・・なんかしてな・・・いよぉ」


涙が溢れてくる



ずっと我慢してたのに



必死に抑えてたのに



溢れてきた



やっぱり優ちゃんには




分かっちゃうよね




「辛くて、苦しくて、もう無理だよ私には」


これで、精一杯だよ



我慢することで私には精一杯