あたしは立ち上がってカレンさんを見下ろした。





あたしの瞳は今、彼女を睨んでしまっているだろう。





だってこの人今…………





真斗を信じてなかったもん。






「………本当に真斗が、カレンさんを憎んでると思いますか?」





「………………そうとしか………思えないよ………」






━━━━━━━━プチ。






あたしの頭が、キレた。






あたしはカレンさんに背中を向け、空を見上げる。






そして叫んだ。





もう、どうなってもいい。そう思いながら。










「━━━真斗ーーーー!!!


隠れてないで出てきなさいよ!!!


カレンさんがアンタのこと誤解してんのよ!


解かなくていいの!?


真斗出てこーーーーーい!!!」















いくら呼んでも、真斗は姿を現さない。





…………いつもそうだ。





拓也くんが現れた瞬間、姿をけしたり、





都合が悪いと現れない。





「ワガママにも程があるんだ馬鹿やろ~!」





「結香ちゃん、何言ってんだよ?」





横から拓也くんの声が聞こえてくる。





あたしは諦めて、カレンさんの方を向き直った。






目を見開いてあたしを見つめるカレンさん。





そりゃ不思議だろうな。




赤の他人が、死んだ人間のことを呼ぼうとしたんだから。






「…………真斗は、カレンさんを守れたことを、誇りに思ってるはずです。」





「…………………あなた…………見えるの……?まーくんが…………。」






「━━━━━━……………あたし、前からユーレイが見えるんですよ。」





「……………やっぱり……見えるのね……。」





「凄く元気にしてますよ。………うるさいぐらいに………。」





カレンさんは、そっかぁ、ときれいな顔を伏せて、笑った。





「………………結香ちゃんの能力が………欲しいなぁ…………。」






「…………………真斗は、カレンさんのことを愛していますよ………。」






カレンさんが、笑った。






……………バカだなぁ、あたし……。





自分で自分が辛いことを言ってるし…………。






自分の首絞めるだけの言動。





彼は、カレンさんを愛している……か。





本当のことなんだろうけどなぁ(笑)





「………………ありがとう、結香ちゃん。」






「………………………………はい。」






泣きたくなるのを必死に抑える。





今のあたしは、ちゃんと笑えているのだろうか………………。





口の辺りが、小刻みに震えている。