「カレン……逃げるぞ。」 真斗の手が、あたしの手を掴んだ。 落としたバッグなんて、気にしている場合じゃない。 今はとにかく、逃げなくちゃ。 「おい!逃げんな!」 バイクのエンジン音が、後ろで聞こえた。 ブルルーーーーーーーーー! あ、近づいてくる。 走る走る走る走る走る走る走る走る……。 橋の半分まで走ったころ。 あたしの手から、彼のぬくもりが消えた。 真斗が、あたしの手を離したのだ。