━━━━━━「カレンさんは、兄貴の彼女なんだ。」
……………………
拓也くんの声が、遠くに聞こえたのは……
気のせいだ。
拓也くんはあたしの方に顔を向け………
悲しそうな笑顔で言ったんだ。
「……………え、」
━━━━━━風の音と、カレンさんの視線。
拓也くんの、少し低い声。
どこか……あの人を思い浮かばせる、低い声……。
その声は、あたしに知りたくない事実を教えてくれた。
「…………カレンさんは、兄貴が唯一好きになった、女の人なんだ。」
どうしてだろう………………。
息苦しいくらいに、胸が痛い………。
少しだけ…………“まーくん”
この呼び方で察していた。察してしまった。
だけど………………
実際に、はっきりとした事実として耳に入れると………………
なんだか辛過ぎるかも…………。
どうしたらいいか……よく分からない。


