初回の合同演習から、3週間後。
あれから何度か学内で演習を重ね、武術と魔術での連携にもある程度慣れてきた生徒たち。
そうして、ついに学外での実戦演習の時が来た。
集合地は、学園の正門。
初回の実戦演習に進んだわずか10組が、大きく聳え立ち威圧感を与える黒い門の傍に集う。
生徒たちは既にほぼ全員が集まっているが、姿の見えない者が二人。
その二人は、集合3分前というなかなか危ない時間にやっと門までたどり着き、黒い門になじむショコラ色を見つけて即座に駆け寄った。
「おはよ、ロゼ」
「おはよう」
ショコラ色の髪の持ち主、ロゼは、腕時計を見ていた顔をぱっと上げる。
正直遅刻するのではないのかとかなりハラハラした。
と、声をかけられ見上げた彼の隣に今や見知った顔を見つけ、途端に彼女は慌てふためく。
「おっはよ~、ロゼちゃん!」
「あ、お、おはようございます…」
「んも~、ま~だあたしには慣れてくれないの?」
「ご、ごめんなさい」
かわい~から許す!なんてのたまい、どさくさに紛れてロゼにハグしたカノンは、少しだけ羨ましそうな目をしたイアンにニヤニヤとしてやったりな顔を向けた。
微妙にじっとりと睨まれたが、残念ながら全く怖くない。
それがわかっているのか、ため息をひとつ吐いたイアンは、腕組みしてここぞとばかりにカノンに言ってやった。
「呼びに行かなきゃよかった」
「うげっ、それはご勘弁!」
どうやら寝坊しかけていたカノンを起こしに行ったらしい。
何度か今までにもあったそれに、ロゼはカノンの腕の中で苦笑した。