翌日、まばゆい太陽が校庭を照らし、芝生におりた露が融けだした、爽やかな春の朝。
四学年の生徒たちはどこかそわそわしながら、それぞれの学部校舎の間に位置する総合ホールで、窓から朝日を受け一日のはじまりを迎えていた。
これからここで、件の合同演習の説明会が行われる。
「じゃ、はじめるぞ」
四学年騎士学部の担当教師であり、加えて学部長であるリアスが、生徒たちが席についたのを確認すると檀上で拡張期を使い声を響かせた。
装飾が施された木製の椅子に腰かけ、それを見上げたイアンは、彼の隣に立つ男性と女性2人に気が付く。
女性のうちの一人は、イアンもよく知っている騎士学部の副学部長レレノアだ。
よくリアスに無茶振りされ、呆れながらもめげずに彼についていくかなりの強者。
…ちなみに怒るとめっちゃ怖い。
彼女の肩あたりで切りそろえられた金髪が光を受けて輝き、イアンは眩しくて目を細めた。
つい、と視線をその横へ持っていくと、そこには黒いウェーブのかかった髪のダンディな男性と、長い銀髪をこれまた輝かせてにこにこ微笑んでいる女性。
二人ともローブを羽織っていることから、魔術師なのだろうと見て取れる。