「けど本当においしかったです!さすがこのお店のシェフさんですねっ」
「シェフってほど大したもんじゃねーよ。俺の料理なんてオマケみたいなものだしな」
「飲食店なのに食事がオマケ、ですか?」
「うちの店はウェイターの奴ら目当ての客が多いからな。そのついでに飯、って客がほとんど」
「そんな!それだけじゃないですよ、ご飯を食べたくて来ている人も絶対います!」
冷めたように言う俺に、橋本さんは力説する。
「あの、堂上さん」
「え?何で俺の名前、」
不意に呼ばれた名前に首を傾げる。すると彼女がにこりと指差すのは、俺の胸元の名札。



