彼女は毎日荷物を持ってくるだけ。俺はそれを受け取るだけ。ただそれだけの関係。 話上手でもない俺は最低限の会話しか出来なくて、彼女の下の名前も知らない。…というか苗字さえも伝票に書いてあるものを見て知った。 そんなものだから当然それ以上進展することもなく、俺と彼女は配達員と店員のままだ。 「けどさぁ、何であの子配達員なんてやってるんだろうねー?」 「へ?」 夕方の小休憩中、二人きりのスタッフルームで和馬からおもむろに投げられた疑問に俺は思わずマヌケな声を出した。