「大地!」
「っ、フン!!」
ドサッと地面に倒れこむ俺に、その一発で満足したのか男は車に乗りその場を去って行った。
「大地っ…大丈夫!?」
「っ〜…口の中切れた」
「…ちょっと待ってて!」
すると夏菜はバタバタと中へ行ってすぐ戻ってくる。その手には、濡らされたハンカチを持って。
「これ、頬に」
「…ん」
それを殴られた左頬に当てれば、ひんやりとした感触が伝う。
「痛い?」
「まぁ…それなり」
「……」
口元の血を拭い頷きつつ『うわ、殴られてやんの』と笑いながらからかうその反応を想像する。
けれど夏菜からの反応は違ったもので、その瞳からはぼろぼろと涙がこぼされた。
「えっ…え!?おい夏菜!?」
「っ〜…」



