ここで働いて、一年ほど。
仕事にも慣れたし、人の入れ替わりも少ないこともありスタッフ間の仲にも慣れた。
…が、やはり昼間のピーク時の忙しさには今だに慣れず体は悲鳴をあげている。
「…せめて店長と堂上さんがもうちょっと意見を譲り合ってくれれば…」
「あははー、それ難しいだろうねぇ」
長く働く和馬さんも、二人の扱い方の難しさは分かっているのだろう。俺の言葉に諦めたように笑う。
「…はぁ、」
そうため息をついたその時、不意に後ろからトントンと肩を叩かれる感触。
「ん…?」
何かと振り向いてみれば、瞬間細い人差し指がぷにっと俺の頬を突いた。