「……はぁ、」



一晩中泣き腫らした翌日、すごいことになった目元で私は仕事帰りを歩いていた。

歩く道はいつも通りの、駅前の大通り。

お店の前は通りたくないのに、会社と駅の位置的に通らざるを得ないのが複雑だ。



「…、」



歩きながらチラ、と携帯を見れば画面には『不在着信・和馬』の文字が並ぶ。

昨日から和馬からの電話が続いている、けれど出る勇気はなくてひたすら鳴り止むのを待つだけ。



…和馬、

空に広がる夕焼け。鮮やかなオレンジ色の景色が、余計に気持ちを苦しくさせていく。