翼を広げて

【美華】


私は生と死の間をさまよっていた。


綺麗…


辺りには花が咲き乱れ、綺麗な川が流れていて、小さな橋がかかっていた。


あの橋を渡れば、もっとたくさん花が咲いてる…


そう思い、橋を渡ろうとした時…


川の向こうからこんな声が聞こえてきた。


「…美華……渡っては駄目…」


「…この声は……お母さん…!?」


優しく囁きかける声は、私が小さい時に死んだお母さんの声だった。


「…お母さんっ!!どこにいるの!?今行くから!!」


「…駄目…何があっても、橋を渡っては駄目…来ちゃ駄目なの…」


「なんで!?どうしてなの…?」


「…あなたは、まだ死んではいけないの…。何があっても、生き続けるのよ…」


「待って…!待ってよ!お母さん!!」


だんだんと小さくなっていくお母さんの声に向かって叫んだ。


「…生き続けるの…美華…」


「いやっ…!!行かないで…!!!!!待ってぇぇぇぇぇぇぇ…!!!!!!」


急に辺りが真っ暗な闇に包まれた。