遊園地

そのとき。

瞬也が、過去の瞬也が行動を起こした。

過去の私にむかって。

「あ……」

過去の私が走っていく。

逃げていく。

過去の瞬也がアタマを抱える。

「あ~っ! なんで茜ごときにおはようが言えないんだよっ、俺!」

それは、言葉ではなく、気持ちとして伝わってきた。

なあんだ。

アイツも一緒だったんだ。

今の私はにっこりしてると思う。すっごく嬉しくて。

何もかもが――走り去ってしまう私も、おはようが言えない瞬也も、私も――たいしたことないじゃん、ってね。

たぶん、いきなり景色が変わって、

違和感感じてびびってたら、

それは自分の背がいきなり伸びたせいだった、みたいな。

そういうことだと思う。

と思っていたら、ほんとうに景色が変わった。


210515-1