天然鈍感美少女と甘々裏表王子

抱きついている穂波をはがしながら、宥める沙羅を俺は見ていた。


「山下」


ザッと砂を踏む音を立ててこちらに近付いてきた矢田部は、少し怒った顔をしていた。


「…沙羅を一人にしたことは、謝る…ごめんなさい」


すっとお辞儀をしたかと思うと、すぐに頭を上げ、俺を見据えた。


「でも、あんた達が早く仲直りしてくれないと、私が沙羅のこと奪うわよ?」


「は!?いや、冗談じゃねぇから。お前になんかやんねぇ。お前に言われなくても今すぐにでも仲直りしてやる」