このままじゃ負ける!

と、1アウト2・3塁になって思っていると、

サードを守っていた龍が、声をかけに、マウンドに行った。




龍太郎side

9回に入ってからの智也のピッチングは、

目に見えて悪くなっていた。

最初のうちは、

来年のためにも、我慢してやってたけど、

ランナーが2・3塁になった時、いてもたってもいられなくなって、

声をかけに行った。

ドカッ

俺は早々に一発智也の頭を殴った。

「いって!

何やねん!」

「何やねん!は、こっちのセリフだ!

何だよ、このざまは。

何緊張してんだよ!?」

「してないわ!」

「してんだよ!

いつもの憎らしいほどの笑顔はどうしたんだよ!?

あの気に入らねー態度は!?
あぁ!?」

「…」

「…こんなやつ…プロに行ったって、

通用しねーよ。

つか、指名してくれた人に失礼だ。

俺も、今のお前には、なんの魅力も感じない」

「…」

「悔しかったら、

いくら打たせてもいーから、自分のピッチングしろよ!」


やべ…

たくさんの人が見てるのに、何やってんだ、俺!

あー、

むかつく!

クソ智也!

俺はむしゃくしゃしながら、守備に戻った。