学園アイドルRTD

俺はコーヒー、

杏実さんはカフェオレを頼み、

2人の間に流れる沈黙を、杏実さんが破り、話始めた。



「私ね、中2から去年まで、あの漣ってのと、付き合ってたの」

「はい」

「今からは想像できないほどラブラブでね、

片時も離れるのが嫌で、いつも一緒にいるような感じだったの」

過去を語る杏実さんは、

とても優しい顔をしていた。


でも、

次の話になった時、急に表情に曇りがにじんだ。

「そんなある時。

その日は、毎日一緒に帰る約束をして、帰ってたんだけど、

私は何も言わずに、漣を校門で待ってた。

そしたら…」

杏実さんは、

今にも泣きそうな顔で、

「漣ってば、楽しそうに他の女子と歩いてきて、

私になんか気づきもしないで、目の前を通り過ぎていったの」

と、

話した。

「…大丈夫すか?」

「あ、うん」

「蓮とは、それきり…?」
「うん。

なんか、大好きだったから、すっごくショックで、

気づいたら、体が蓮を拒絶するようになってた。

約束をしないで待ってた私も悪いんだけどね…。」

「…でも、
杏実さんはまだ本当は蓮のこと、

好きっすよね?」

「え…」

「だって、

そんなに嫌いなら、何でもらったキーホルダーつけてんすか?」

「あ」

杏実さんの携帯には、

クマがついた、かわいいキーホルダーがぶら下がっていた。

「ん…

そうなのかもね。

龍太郎君には悪いけど、こうして今、学園1イケメンな男子といても、

ときめかないんだもん…(笑)」

ぐさっ

い、今のはダメージ食らった…。

「怖いんだ。

また、同じことされるんじゃないかって…」

「…」

「でも、私は漣が…好き…」

「…俺、応援しますから」
「え?」

「俺も今の彼女を手に入れるためにいろいろ苦労したんで、

気持ちはわかるっすから」
「…ありがと」

杏実さんは、

完全に恋をする女の子の顔をしていて、

幸せそうだった。

その後は、

俺も早く美玲に会って話がしたくて、

うずうずしながら、杏実さんと話をした。


結局、漣がデートを見に来ることはなかった。

たぶん、

普段は自分に振り向かせるために必死だけど、

こういう時くらい好きな女の幸せを邪魔したくなかったんだろう…。


本当に杏実さんが好きなんだな…。