重い体にムチを打って、家を出て電車に乗る。
もう通勤ラッシュの時間は過ぎていたので、車内はガラガラでイスに座ることができた。


最近寝不足だったので、電車に揺られ寝そうになったとき。


「・・・五十嵐?」


私の苗字が呼ばれたのに反応し、目を開けると、私の目の前に

黒髪でいかにも爽やかそうな顔立ちの整った男の子が立っていた。


「・・・キミ、五十嵐 凛・・・だよね?」


なんでこの人私のこと知ってるの?

まさか、クラスの誰かが私の写真をネットに流した?


『そ・・・そうですけど・・・?』


警戒しながら私が答えると彼は戸惑ったような顔をした。


「もしかして覚えてない?ほら!小学校一緒だったじゃん!如月 琉だよ!!」


あぁ。名前が珍しかったから覚えている。


『あぁ!!思い出したよ!小5の時に転校しちゃった琉くんだよね!全然変わってたから分かんなかったよ。』


わざと声を明るくして言う。