‡キス魔な彼氏‡




「先輩!ちょっと出てっ」



そう言ってあたしは慌てて玄関のドアを開けて、先輩の背中を押す。



「え、まき…“ガチャン!”」



先輩の声はドアの音で消された。



そしてあたしは息を吐いた。



「ふぅーっ」




「牧野…」



先輩があたしを呼んだ。




そしてー…






「ひゃ…っ!」




ートンッ




いきなり先輩に腕を引っ張られたかと思ったら、今あたしの背後にあるのはベージュ色の壁。




「先輩…?」



みるみる先輩の顔があたしに近づいてくる。



「あの人誰?」



初めてみた先輩の真剣な顔。