まだ刀は、まともに青白い炎を纏っていない。

その途中で永久子の呪いが襲ってくるとは。

まともに身動きできない中、狂った形相のこよりが包丁を振り下ろす!

「くっ!」

床を転がり、その斬撃を何とか回避する猛流。

今も心臓を鷲摑みにされるような苦痛は続く。

立ち上がれないままの猛流の背中に、再度襲い掛かってくるこより。

高々と振り上げた包丁。

タッパーに収まる大きさまで…ミンチになるまで女の肉を、骨を刻み続けたという血を吸った肉切り包丁が、猛流には死刑執行のギロチンのように見えた。

その包丁が振り下ろされる!

前に。

「その嫉妬から…解放してやるっっっっ!」

振り向くと同時に、刃を銀の指輪に滑らせ。

青白き炎を纏った切っ先で、猛流はこよりの胸を貫く!