外道武士

関所を出た猛流は、外套の内から封筒を出す。

…得物の浄化の際、既に関所から次の指令を受け取っていた。

関所はどういうつもりで、手負いの猛流に指令を与えたのか。

捨て駒として強力な『黒の者』の力を殺がせる為か。

或いは永久子ほどの強力な『黒の者』を憑依させて尚、正気を保っていられる猛流の精神力を見込んでか。

真意は彼には分からない。

ただ猛流には、外道武士以外の生きる道はない。

闇に生まれ、闇に忍び、闇を斬る為だけに鍛えられてきた。

己の身がどうなろうと、彼はこれしか知らない。