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「成程ね…」

暗い部屋の中、二人の男が話している。

まるで石棺のような、冷たく狭い石壁に囲まれた部屋。

そこで話す坊主頭に袈裟姿の僧侶。

頭には笠を被っており、隻眼。

僧侶は眼前に立つ黒革の服装、銀の装飾に身を包む、長身痩躯、野生的な風貌の狼を彷彿とさせる男を見る。

「嫉妬と愛欲に狂い、イカレ、『黒の者』と化したってぇ訳だ…いやいや、女は怖いね…」

そう言って顎を撫でる僧侶…慈空はどこかおどけているようでもあり、本気で畏れている風でもある。

「俺ぁ女の霊はもう金輪際調伏しねぇと決めたんだ…高ぇ授業料を払ったからな」

隻眼に触れる慈空。

「猛流…やってくれるか?」