「あぁ?」

関所。

猛流の言葉に慈空は怪訝な表情を見せる。

「永久子が助太刀しただぁ?」

「ああ」

頷きながら、己の胸に手を当てる猛流。

「先の『黒の者』との戦いで、確かに永久子は俺を助けるような行動を見せた。同じ『黒の者』を相手に力を振るい、消滅までさせた」

「……」

しばらく顎を撫でていた慈空だが、その口角がつり上がる。

「そりゃあアレだな、猛流。てめぇの身の内で長い期間行動を共にするうちに絆されたのさ」

「絆された?」

今度は猛流が怪訝な顔をする番だった。

「わかんねぇかな猛流…てめぇもまだまだ坊やだな」

慈空はニヤリと笑う。

「永久子はてめぇに惚れたのさ」