ドクン!と。

大きく脈動する猛流の胸の人面疽。

またこんな時に永久子の呪いか…!

苦痛に顔を歪める猛流。

しかし違った。

人面疽を通じて現れたのは、爪の剥がされた、がさついた永久子の二本の腕。

その腕が尋常ならざる長さに伸び。

「っっっっっっ!」

頑強な鎖に覆われた、目前の『黒の者』の胴を刺し貫く!

その激痛にもがき苦しむ『黒の者』。

それでも容赦する事なく、永久子の腕は壁に、地面に彼を叩きつけ、甚振り、最後には。

「――――――――!」

首と足を摑んで怪力で真っ二つに引き千切る!

どす黒い血を撒き散らしながら断末魔の悲鳴を上げる『黒の者』。

凄惨な地獄絵図が、猛流の眼前で繰り広げられる。

だが何故、永久子は猛流に加勢したのか。

相手は同じ『黒の者』なのに、何故同族殺しなどという真似を…。