ここに一冊の航海日誌がある。

今から数十年前に、漁船新光丸が遭難し、乗組員12人が全員死亡または行方不明となった。

新光丸は漁業従事中にエンジンが故障、北太平洋をおよそ11ヶ月間漂流した。

その間に乗組員は全員死亡したが、船体は北アメリカ大陸西岸に漂着した。

海難事故で生存者がいなかった場合は、一般にその遭難の原因や経過を知る事が困難な場合が殆どだが、当事故においては船体が沈没せず、克明に記された航海日誌が残されていた。

その経過をここに語る。