赤錆に覆われたアパートの外階段に足音が響く。
それは僅かに震えているように思えた。
師走に入って急に寒くなったせいだろうか?
「きっと此処に来る」
それでも俺は確信して叔父さんに言った。
此処とは《イワキ探偵事務所》のことだった。
探偵事務所と言っても、そんなに格好いいものじゃない。
普通のアパートだし、狭いし。
でも熱いハートで事件解決します。
と、言いたい。
なのに来る仕事は、浮気の調査が殆どだった。
『探偵と言えば聞こえは良いが、実際問題浮気調査とペット探し位しか……』
何時だったか、叔父さんが弱気なことを言っていた。
俺は磐城瑞穂(いわきみずほ)。
そんな叔父さんの経営している探偵事務所でアルバイトをしている。
俺は此処に足音が向かうことを期待していた。
もう幾日も仕事らしい仕事にありつけていなかったからだ。
『この調子で年が越せるかな?』
叔父さんの口癖が現実味を帯びてきていた。
「又浮気調査かな?」
俺は叔父さんにそう言った後で、ドアノブに目を移した。
結局足音はイワキ探偵事務所の前で止まった。
(やったー!?)
俺は小さくガッツポーズを取りながら、叔父さんに目配せをした。
(これで一息吐けるかな?)
そう思いつつ、叔父さんを見た。
叔父さんもホッとしたらしく、口元が少し揺るんでいた。
(良かったー)
俺はその向こうに依頼人が立っていることを確信しながら、少しだけ動いたドアノブにおもむろに目をやった。
そんな状況でも、探偵としてのプライドは捨てたくなかったのだ。
まだ駆け出しのアルバイト探偵だけどね。
それは僅かに震えているように思えた。
師走に入って急に寒くなったせいだろうか?
「きっと此処に来る」
それでも俺は確信して叔父さんに言った。
此処とは《イワキ探偵事務所》のことだった。
探偵事務所と言っても、そんなに格好いいものじゃない。
普通のアパートだし、狭いし。
でも熱いハートで事件解決します。
と、言いたい。
なのに来る仕事は、浮気の調査が殆どだった。
『探偵と言えば聞こえは良いが、実際問題浮気調査とペット探し位しか……』
何時だったか、叔父さんが弱気なことを言っていた。
俺は磐城瑞穂(いわきみずほ)。
そんな叔父さんの経営している探偵事務所でアルバイトをしている。
俺は此処に足音が向かうことを期待していた。
もう幾日も仕事らしい仕事にありつけていなかったからだ。
『この調子で年が越せるかな?』
叔父さんの口癖が現実味を帯びてきていた。
「又浮気調査かな?」
俺は叔父さんにそう言った後で、ドアノブに目を移した。
結局足音はイワキ探偵事務所の前で止まった。
(やったー!?)
俺は小さくガッツポーズを取りながら、叔父さんに目配せをした。
(これで一息吐けるかな?)
そう思いつつ、叔父さんを見た。
叔父さんもホッとしたらしく、口元が少し揺るんでいた。
(良かったー)
俺はその向こうに依頼人が立っていることを確信しながら、少しだけ動いたドアノブにおもむろに目をやった。
そんな状況でも、探偵としてのプライドは捨てたくなかったのだ。
まだ駆け出しのアルバイト探偵だけどね。


