不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】

 俺はどうにか……やっと学校にたどり着くことが出来た。

まず自転車を校庭の隅に乗り捨てた。
自転車置き場まで行くだけのゆとりも無い。
スタンドも立てる配慮も出来ない。

俺はすでにアップアップしていた。

胸がバクバクしてた。

膝はガタガタしてた。

何をどうやったら良いのかさえ解らない。

此処に辿り着くだけで精一杯だったのだ。


ボーっとしたままとりあえず歩き出そうとしたら、石に躓いて両手を着く。


何時もなら何でもない動作の一つ一つが狂ってる。

気が付くと俺は這いつくばっていた。




 それでも必死に考えた。

何処に行けば良いのかを。


ずっと気が張っていた。

必死だった。

みずほの死が信じられずに……がむしゃらに突っ走って来た。


俺は疲れ果てていた。

でも心は必死にみずほを求めて……ただ無性に焦っていた。


みずほに逢いたくて逢いたくて仕方なかった。


他のことなど考える余裕もなかった。


頭の全てが……心の全てが……みずほで埋め尽くされていた。




 みずほの居る場所が解らない。

何処で落ちたのか……

何処から落ちたのか?


「みずほ何処だーー!?」

第一声がそれだった。

でも思った以上に声は出なかった。

それでも声を出し続けた。

みずほに逢いたい一心で。


警察車両があった。

やはり、何かが事件が起きたことは確かのようだった。


俺は状況を知りたくて、それに近付いた。


その車の窓ガラス写る俺の顔。
それを見てハッとした。

俺は今まで泣いていなかった。

悲しいのに……

苦しいのに……