おーきく、息を吸えばすーっとして
いつもより早く起きた朝はキラキラしてて
いつもの道も、永遠と青い空も、どこに向かっているんだろう?
そんな期待と不安入り交じる気持ちで登校する。


「おーい、しーらーいーしー」

遠くから聞こえるのは、いつもより大きな声の〈折原 海〉
彼とは幼稚園からの腐れ縁
なぜか、小中高と一緒で親同士も仲が良いみたい

「おはよう、海」

あたしはいつもよりムッとした声で挨拶をした

「なんだよ、朝からテンション低いなー」

あんたのせいよ
せっかく、早く起きて普段の日常がキラキラしてたってのに
うるさい声で名前を叫ばれたんじゃ
テンションだって低くなるわ

「あんたのせいよ。せっかく、良い日になると思ったのににー。だいなしだわ。」

「はぁ?意味わかんなー。」


そう言って海はあたしの隣を歩きだし、話をし始めた

「でさー、ソイツがさーって、聞いてんのかよ」

「…え?あ、ごめん。聞いてなかった」

「おーいー。聞いとけよな。まあ、ソイツが変わった奴なんだよ」

へー、変人の話ね
変わった人は好き
新しい発見をくれるから

「で、その人の何が変なの?」

あたしは質問した

少し興味があるのよね
その、変人さん

「ん?あぁ、なんかずーっと空見ててさ。話しかけにくい空気出してっから友達も少なくてさ。な?変わってるだろ?」

「そうかなー」

だって、無口で話しかけにくい人なんて
この世界にたくさんいるじゃない

「だってよ!?ずーっとだぜ?ずーっと!」

「はいはい、分かったよ。ずーっと空見てんのね」

あたしは適当に返事をした

「ちぇっ。適当に返しやがって」

「あ、バレた?」

あたしはペロッと舌を出してとぼけてみた

「うわっ、キモー」

はあ!?キモい!?

「なによ!せっかく変人だって認めてあげたのに!」

あたしはおもいっきり海のことを鞄で叩いた

「いったー!暴力女だー!」

そう言って海は自分の乗ってきた自転車に股がって
先に行ってしまう

「こーの、馬鹿野郎!!」

そう叫んだあたしの声が
大空に舞い上がった