かけがえのない君のために


それでも私を煙たがらないで一緒に授業を受けてくれてるんだから聞けばいいのかもしれないけど



椎名くんのことを聞いて肯定されれば私はどうしていいのかわからない。




椎名くんと話さないという選択肢だけは選びたくない。



特別な関係にはならないからせめて話し相手くらいは許してほしい。



だから聞かない。
私のずる賢い逃げ道なんだ。




「ここいいかな?」




私がカバンの中から教科書を取り出すとドサっと机の上にカバンが置かれた。



さっき見たカバン。どうしよう。森本さんだ。何か言われるに違いない。



ビクビクと怯える私の体。
ごめんなさいって言うべきなんだよね?





「心配しなくていいよ。私、彼氏いるんだ。見てみて。かっこいいでしょ?」