陽は、この違和感に気づいていた。 そして、もう誤魔化しはきかない。 「だめですか。」 白衣を着たおじさんが、陽の母さんに声をかけた。 「…もう、限界みたいです……」 応えた声は、涙で震えている。 「残念ですが、もう諦めてはどうでしょうか。娘さんはもう、10年も意識を手放したままです。回復の見込みもありません。」 「…よく、考えて下さい。」 そう冷たく言いはなって、男は部屋をあとに した。