「もう、限界ですよ…」
俺は横たわった陽の頬にてを添えた。
引き締めたはずの涙腺が、一気に緩む。
陽はもう、あの世界では生きて行けないだろう。
「…俺のせいだ。ごめん。ごめんな…陽……」
口元にあてがわれた酸素マスク。
白く細い腕から伸びる管。
頭から伸びる無数の管は、さっき俺の身体中に巻き付いていたものと同じ。
頭から伸びる管の先には、大きな機械があった。
脳に刺激を与えることで、普通に生きている『錯覚』をもたらす。
俺や陽のお母さんも同様にして、陽の脳内に入り込んでいた。
美咲や万由子さんは、全てプログラミングされている。

