「この傷痕はなに?」 知ってるんでしょ? 顔をあげようともしない彼の頭を見つめながら、私は言葉を続けた。 「私はあの事故で、外傷はなかったはず。じゃあ、この傷痕はなに?」 …焦れったい。 答がそこにあるのに、掴めない。 私が望むものは、もっと奥にあるはず。 どうして? きっと、もうすぐ─────