なのに、私の脚にある手術痕のことは、誰も教えてくれない。

この傷は、なに?


「やば…」
時計の針は8を指していた。
待ち合わせは10時。
早く支度をしなくてはいけない。

私はクローゼットから適当に服を引っ張り出して着替えを済ませ、1階へ降りた。

「おはようございます、陽(ひなた)さん。朝ごはんはできてますよ。」
「おはよう、万由子(まゆこ)さん。いただきますね。」

私は食卓について、焼きたてのパンを頬張った。