「うそ…もう8時!?」
耳元でけたたましい音を上げる目覚ましをどうにか黙らせると、時計の示す時刻はいつもより20分も遅い8時
慌てて着替えると、バッグに今日の用意を急いで詰め込んで、ご飯も食べずに駅まで走った
(最悪! 次の電車ってたしか…15分だったっけ?)
走りながらケータイで時間を確認すると、10分
駅は次の角を曲がってすぐだ
(よかった…間に合った!)
そのままダッシュで電車に乗り込み、奇跡的に空いていた席に滑り込んでため息をついた
すると、クスクスと
押し殺したような笑いが隣の席から聞こえてきた
とたんに今までのことが恥ずかしくなり、バッグから鏡を取り出して髪を整えた
(確かに恥ずかしいことしたけど、笑うなんて失礼じゃない!?)
そう思って、ケータイの画面から隣に座る人の顔をこっそり見てみると、画面の中でばっちり目が合ってしまった
(ヤバッ!)
反射的に目を反らすと、隣からまたクスクスと笑いが聞こえてきた
気まずさか恥ずかしさからか、顔に熱が上がってくるのを感じていると、くしゃりと大きな手で頭を撫でられた
「なんだよ、マジで気付いてないのか?俺だよ、俺」
そう言ってかぶっていた帽子をとって見せると、明るい茶髪に少しパーマがかった…見慣れた髪型
「ミナトさん!?」
「あたりーっ!」