「うわぁ、すっごく綺麗!」
観覧車なんて乗ったのは何年ぶりだろう。
今日はショッピングに食事に、最後は遊園地と、時間の限り遊びつくしたという感じだった。
観覧車の窓から見える景色は既にオレンジ色に染まっていて、下に着いたら帰らないといけないと思うと少し寂しく感じた
「なになに、俺と離れるのがさみしい?」
「えっ?」
考えていたことを見透かされてドキリとしてミナトさんを見ると、「さみしいって顔に書いてある」と頬を指でつついた
「そんな顔しないでよ、帰したくなくなっちゃう」
「え?」
それってどういう…
よく意味が分からなくてミナトさんを見返すけど、冗談だよと頭を撫でられてはぐらかされてしまった
「今日は突然連れ出しちゃってごめんね。でも、久しぶりにライちゃんと遊べて俺、すごい楽しかったよ」
ありがとう、と眩しい笑顔をくれる
「お礼を言うのは私の方だよ、私も楽しかった。ありがとうミナトさん!」
タイミングよく観覧車は地上に着いて、私たちはオレンジと紫が混ざった景色の中を歩いて帰った。
帰り道はミナトさんのアメリカでの思出話を聞いていたらあっという間に家に着いてしまって、名残惜しいけどまた会うことを約束して、笑って手を振った
昨日あったことはとても衝撃的でショックだったし、今でも恐怖が無くなった訳ではないけれど
ミナトさんといる間は本当に楽しくて、その事を、少しだけど忘れることが出来ていたのかもしれない
(やっぱり、彼に会えてよかった)
寝る前にもう一度彼にお礼を言って、目を閉じた。