しかし、それでは達磨は口を開けないことを結実香は思い出した。
 
「あ!そっか!」
「何?結実香ちゃん」
「こうするんだった。達磨、あーん」
「あーん」

 あーんをしないと、食べないなんて、他の奴らが知ったら、どんな反応をするんだろう?
 琉生が顔を引きつらせていると、結実香が琉生にチョコレートケーキを食べさせようとしたので、口を開けると、達磨が猛獣のようににらみつけてくる。

「琉生君、美味しい?」
「うん、美味いよ。結実香ちゃんにも食べさせてあげる。どっちがいい?」
「先にチーズケーキがいい!」
「ほら、あーん」
「あーん」
「どう?」