結実香が結真にしがみついているので、達磨は離れさせるために優しく結実香の背中を叩いた。
 すると、結実香がゆっくりと振り返り、何も言わずに達磨の顔をじっと見つめている。

「お菓子をあげるから、こっちへおいで」
「餌づけじゃないわよね?」
「達磨が結実香ちゃんに食べさせたいだけだろう?」

 二人が何か余計なことを言っているが、何も聞いていないふりをした。
 結実香は考えてから、達磨のところへ歩み寄る。素直に自分のところへ来たので、達磨は満足していた。

「達磨が食べさせてくれるの?」
「うん。どれがいい?」
「そうねー」

 結実香はお菓子の中からチョコレートを選び、達磨はそれを結実香の口の中に入れた。