何だか皆気まずそうに私に背を向けて教室へ向かって行ってしまった。
「本当、この子が雑誌で天才なんて言われるなんて、コラム書いた記者に中身みせたいよね」
「……うん。馬鹿って言いたいんだよね。分かってる」
「この学校入れたなんて凄いよね」
「見くびるな。勉強はそれなりに出来る子なんだ」
「なるほど。わかった。性格難なんだ~」
「性格難は城山ゆ」
「そう思い込んでるところで性格難だよね~」
「…………。」
口では晴美に敵わないと分かった私は、
教室までの道のりをウジウジと半泣きになりながら歩いた。
教室のドアに差し掛かり、飽きっぱなしのドアをくぐろうとすれば、
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
ちょうど中から飛び出してきた太一と晴美がぶつかりそうになる。
それを後ろで見ていた私は…
「ぷっ…晴美、『ぎゃっ』って!『ぎゃっ!』って!女の子ならもう少し可愛らしい声上げなさいよ」
よく恋愛小説で、ヒロインが悲惨な声を上げた時に、わき役のしっかり者女子が言うセリフを言う。
「おだまり!」
それに対して私を振り返った晴美は、どこぞの悪役のようなセリフをまた言った。

