どれだけ時間が立ったのか…


いや、実際は数秒だろう。




周りの目線が怖くて、私は『あの~』と切り出す。



私が焦っているのが分かったのか、

「俺の事覚えてる?」

なんて意味深な言葉を笑顔で言う城山優。




たらたらと背中に汗が流れるのを感じた。

ヤバイ…何だかこの展開は少女マンガ的にヤバイ展開だ。

きっと、『お前返しただけで済むと思ってんのかよ?ああ゛!?お前下僕になれよ』なんて言われるんだ。
これだからイケメンは嫌だ。

絶対面倒くさい展開になるに決まってる。




「すっすいません。私には下僕になる時間はないので…後日お品を添えますので!!」


自分でも分かるくらい真っ青な顔で平謝りする私に、

城山君はキョトンとした顔で首を傾げたかと思うと、

「あ…」と声を上げた。



「また設定とかなんか変な考えしてるだろ?違うからね」

前回と言うか初めての事を思い出したのだろう。


「もしかして返したパーカーに皺付いてましたか!?」


「えっ?ああ、パーカーな。綺麗に畳まれてたし凄くいい匂いがしたよ。
まあ、直接手渡ししてくれたら、探さなくて済んだのになって思ったけど」




パーカーに問題が無かったとすると、何がいけなかったのだろう。
わざわざ学園一の王子が私を探すなんて、
どれだけの事をさせられるんだろう私…




「あの…つまり私はどうすれば良いんですか?」



真剣な顔で城山君を見上げれば、目の合った本人は苦笑いをした後に私の目をジッと真剣に見て、





「取りあえず…佐々木有紗をもっと知って、有紗にも城山優という人間を知って欲しい…かな」



…………。



「はい?」





「今のところは『友達』でいいよ。有紗」







何故か嬉しそうな顔で言った城山君に、私はどこからツッコんだら良いのか分からなくて…


唖然と城山君を見ていた。